週刊タイガー

週刊タイガー

提供:屋久島ガイドサービス/屋久島タイガー日記

掲載は2014年3月をもって終了いたしました。現在はバックナンバーをご覧頂けます。


2014年3月 第4週

「長い間」
「おおきに」
今週はワシと弟分の猫のコヨージとの掛け合い漫才でいきまっせ~、よろしゅうに。

コヨージ:先週に引き続き、またまたボクちんが呼ばれたという事は猫の手も借りたい」ような問題があったんですかにゃ~。

タイガー:そやねん、猫の手を借りながら、なんとか10年間「週刊タイガー」をやってこれまして、コヨージくん、ほんまにおおきに。

コヨージ:にゃんと~!!「週刊タイガー」はおしまいなんかにゃ?

タイガー:はいな、そうですねん。色々あった10年でしたな~。

コヨージ:にゃんとも。

タイガー:コヨージは何の話題が一番、印象に残ってる?

コヨージ:え~そんなん選ぶのん難しいにゃ。

タイガー:改めて振り返ってみると同じテーマが多いのが「昆虫」そして「食材」やな。

コヨージ:だにゃ。タイガーは「脱皮シーン」が好きやから抜け殻の写真も多かったにゃ。

タイガー:そうそう2009年4月の1週目の「ナナフシの脱皮現場」、覚えてる?

コヨージ:風がきつい中、まるで出産するかのように脱皮したのをよう覚えていますにゃ。

タイガー:いつやったか忘れてしもたけど、尾之間温泉の入り口で観光客のヤングな男子にいきなり質問された事があってな。

コヨージ:え?

タイガー:「どこでナナフシが見られますか?」という、いきなりな質問でな~、ビックリしたで。

コヨージ:ナナフシ好きな奴って、分かってて、尋ねはったんかにゃ?

タイガー:え~っ、そんなナナフシ好きな雰囲気ってあるんかいな。

コヨージ:で、どう答えたんかにゃ。

タイガー:「庭でブラブラしてたり、洗濯もんを干してたり、突然、見つけます」って答えたんや。

コヨージ:そんなん答えになってへんにゃ。しかし、おもろいヤングな男子やったにゃ。

タイガー:そういや「おもろい」で思い出したけど、おもろい実験を色々と、したなぁ~。

コヨージ:食べ物関係かにゃ?植物関係かにゃ?

タイガー:そうやな~観察してたら実験したくなるのが世の常ですな~、なんでやねん!

コヨージ:2013年12月4週目のスズメバチの巣から生キャラメルを作ったのは笑えたにゃ。

タイガー:そや、そや。ワシとこ屋久島ガイドサービスのHP、「屋久島タイガー日記」の中に掲載している「自然のめぐみレシピ集」の数々のレシピは、全部おもろい実験やで。屋久島タイガー日記は今後まだ続くから、たまには、見てや?。

コヨージ:そういえばボクちんが猫の手を貸した2013年6月の4週目はお腹が痛い程、笑えた実験やったにゃ。

タイガー:あれはヤマビルさんも驚いたやろうな~。

コヨージ:無理矢理に血を吸わされてにゃ、気の毒やったにゃ。

タイガー:色々あった10年やったけど、春が来て、梅雨が来て、夏が来て、、、。

コヨージ:秋が来て、冬が来て、、、、。

タイガー&コヨージ:また春が来てくれましたな。皆さん、今までありがとう!!!屋久島ばんざい~だにゃ。


週刊タイガー終了のお知らせ

週に一度の連載でお楽しみを頂いてまいりました「週刊タイガー」は、2014年3月末をもちまして、10年間の連載を終了させて頂くこととなりました。

「週刊タイガー」の延べ連載回数は、10年間で500回余り。
日々移りゆく屋久島の身近な自然の姿、生き物達の営み、そこから感じる喜びや楽しさ、可笑しさ、しみじみとした思い。
多くの皆様方に、屋久島を想うひとときをお届けしてまいりました。

これまでのご愛読、大変ありがとうございました。
なお、過去のバックナンバーは今後もご覧頂くことができます。
これからも折に触れましてお読みかえしを頂ければ、望外の喜びです。



2014年3月 第3週

「タテハモドキ」
「ミミズ」
今週はワシと弟分の猫のコヨージとの掛け合い漫才でいきまっせ~、よろしゅうに~。

タイガー:「ぞうさん~ぞうさん~お鼻が長いのね、そうよ~母さんも長いのよ~♪」

コヨージ:タイガー、いきなりだにゃ。どうしたのかにゃ。

タイガー:先月の2月28日に詩人の「まど・みちおさん」が104歳で旅立たれてん。

コヨージ:それで有名な童謡を歌っただにゃ。

タイガー:そうやねん、まどさんは誰もが知ってる童謡をいくつか残してはるねん。

コヨージ:ボクちんもしってるんだにゃ。「ポケットの中には~ビスケットがひとつ、ポケットをたたくと、ビスケットがふたつ~♪」

タイガー:「そ~んな不思議なポケットがほしい~♪ そ~んな不思議なポケットがほしい~♪」よろしぃなぁ~。

コヨージ:まどさんってどんな方だったのかにゃ?

タイガー:同じ詩人の谷川俊太郎さんが、「こんなに優しい言葉で、こんなに少ない言葉で、こんなに深いことを書く詩人は、世界で、まどさんただひとりだ」ってまどさん評をされた文章を朝日新聞で読んだで。

でな、有名な童謡以外にもまどさんのは、たくさん自然界の事柄を「詩」にされていて共感出来るものがあるんやな。今週はいくつか「詩」を紹介したいねんけど、どうやろうな。

コヨージ:まどさん100歳100詩集という理論社から出ている中から、まずはタイガーから紹介してにゃ。

タイガー:よっしゃ、では屋久島に暮らしていていつもそう思う事を分かりやすく表現してはるのからいきまっせ。

詩のタイトルは「どうして いつも」

「太陽 月 星 そして 雨 風 虹 やまびこ ああ いちばん ふるいものばかりが 
どうして いつも こんなに いちばん あたらしいのだろう」

コヨージ:ホンマだにゃ~なんでだろうにゃ。古いものが新しいなんて。

ボクちんも紹介させてもらいますにゃ。

詩のタイトルは「チョウチョウ」

「こころなら こんなにきれいなの そういって でてくれるのかしら もじゃもじゃけむしから いつも チョウチョウは」

タイガー:まどさんは昆虫をよく観察されてたのかな?それとも小さな生き物を観察するのがお好きやったんかな~。

詩のタイトルは「ミミズ」

「シャツは 地球です 洋服は 宇宙です どちらも一枚きりですが」

子供達が読めるように全てひらがなで書かれていたけど、大人が読みやすいように漢字に変換してしもたワ。それにしても、ミミズをこんな風に表現してくれはるとは、まどさん~おおきにやで~!!

コヨージ:まどさんって深くて優しいにゃ。

ボクちんももひとつ、詩のタイトルは「カ」

「ある ひとが ふと あるひ 手にした 本の とあるページを ひらくと ある行の とある活字を ひとつ 植木鉢にして カよ おまえは そこで 花に なって さいている そんな かすかな ところで しんだ じぶんを じぶんで とむらって、、、、」

タイガー:うわ~ん、そうやそうや~、あるある、まどさんが今まで挟まれてしもた蚊を全部まとめて「詩」で弔ってくれはったで~。

コヨージ:なぁタイガー、まどさんの詩の紹介って、永遠に終わらんかもにゃ。

タイガー:ホンマや、ありすぎるな、こう胸にググッと来る詩がな~。

じゃぁ、ワシらお笑い犬猫コンビにふさわしい、笑える「詩」を最後の紹介にしようかな。

詩のタイトルは「おならはえらい」

「おならは えらい でてきた とき きちんと あいさつ する こんにちは でもあり さようなら でもある あいさつを、、、せかいじゅうの どこの だれにでも わかる ことばで、、、えらい まったく えらい」

コヨージ:まったく えらいのはまどさんだにゃ~

タイガー&コヨージ:

ワシら陽気な犬猫コンビ~、
今週は漫才よりも「詩」の紹介でしたけど、
まどさん、おおきに~!皆さん、おおきに~またね~!



2014年3月 第2週

「透かし俵」
「バイオメカニクス」
森の中で目的地に向かって急いで歩いていると、あんまり細かいものには気がつきませんなぁ。

かといって、なんか「見つけるぞ~!」と意気込んでいても、
あんまし大したもんには出会えないものですな。
不思議なもので、「偶然」に見つけて、出会えるものかも知れませんワ。

今週ご紹介するのは、その偶然に出会えて見つけた「クスサンの繭」ですねん。

すごいやろ、左の写真をよう見てや。
パッと見い、なんや分かりずらいかも知れんけど、これが繭ですねん。

繭ってサナギになる前に自分で糸を吐いて自分の周りを覆い、
自分を保護する為に包み込むものやそうですぞ。

ワシの場合は寒い時など、オカンが毛布を敷いてくれて、湯たんぽを置いてくれるから、
自分では地面に穴を掘るぐらいで何~もせえへんけど、ガの幼虫って偉いな。

自分で糸を吐いて、ようこんな職人技のような網目状もカバーを作りはりますな!
その網の目の中に塊があるねんけど、クスサンが羽化したのは昨年の秋頃やから、
これは空っぽの空き家ちゅう訳ですねん。

いかに苦労して作り上げても、そしてそれがいかに自分を守ってくれたものでも、
成虫になったら、もう役目が終わるちゅう事なんやな。

たまたま朝日新聞の日曜版(3月2日)に
「むしにまなぶ」というテーマで掲載されていたんやけど、
偶然見つけた「クスサンの繭」って、
ワシにとったらひとつの必然やったんやで。

というのもクスサンという蛾は「ヤママユガ科」というヤママユガの仲間でな、野生の蚕やねん。
この蚕の出す物質を「ヤママリン」と呼ぶそうな。

ここから新聞に掲載されていた内容やけれど、
なんとなんと「ヤママリン」という物質を研究している方がいてて、
蚕というのは孵化まで8ヶ月も休眠するらしい、
その眠りを維持するのが「ヤママリン」やそうな。

要は休眠する作用を持つ物質やねんけど、
それを利用してガン細胞を増殖するのを抑える効果があるらしいで。

「悪さをするガンを眠らせる!!」

なんちゅう人間ってスゴいんや、
まだ実験中らしいけど、この発想する能力というのが素晴らしいな。

「バイオメカニクス」という言葉があって、和訳すれば「生体力学」とか「生物力学」というそうやけど、
生物の構造や運動を力学的に探求してその結果を応用することを目的とした学問があるらしいで。

写真の右を見てな、樹の枝に硬化した輪ゴムみたいなんがぶら下がっていたんや。

「一体なんや??あんたは誰やねん??」

調べてみたらカイガラムシの仲間でヒモワタカイガラムシという昆虫やねん。

そもそもカイガラムシというのは害虫やねんけど、
色素を取り出して利用されたりもするというプラスとマイナスがあるねんな。

このヒモワタカイガラムシはどう利用されているのか分からんけど、研究したら面白いやろうな。
そんな学問、今からでも勉強したいな!

ともかく「発想する」、、、つまりアイデアちゅう事やけど、
ワシらみたいに自然によって生かされているものはもっともっと、
自然界のものを観察して活かしていかなアカンねんな。

それが、そんな簡単なもんやないけど、
「自然界に学ぶ」というのがもっと浸透すればこれから先、地球の未来は明るいよな。
硬化した輪ゴムの輪(ホンマはちゃうけど)から未来を考えてみた虎犬タイガーでした。



2014年3月 第1週

「ワラビ」
「タラノメ」
3月に突入しましたな。
日本は縦に長いからまだまだ雪が残されている地方も多い事やろうな。

しかし、その雪の下では色々な生き物が動き始めているはず。
ワシん家の周辺では、弥生の月らしく、もう辺り一面、
草木が吹き出して生命力爆発のエネルギーが満ちていますで。

今週は食べた報告ではなく、採集してきた色を見てもらいたくて、まずは「ワラビ」。

鮮やかな緑色やな~!
じつは写真のは、アクを取る為に湯がいているねん。
採集したての緑よりもこの方が、より緑が鮮やかに映えますからな~。

そしてネトネトした粘りまで写真に出ているのが分かりますやろか?
漢字で書くとものすごく難しい字ですがワラビは「蕨」と書いた方がやっぱしシックリ来ます。

なんでシックリ来るのか、角川の漢和辞典で調べてみたら
「蕨-多年生シダ植物の名、山野に自生し若葉を食用とする」とあります。

意味はともかくとして、草冠のコーナー(部首)に
デ~ンと居座ってはったからそれで納得したな、
草冠がついてるから漢字の方がシックリきた訳ですワ。

ちなみに同じ見開きには「蓼-たで」があり、「蕎-そば」もあり、「蕊-ずい」もあり、
見ていたらニヤニヤしてまう程に大好きな草冠コーナーやったで。

ま、どの漢字も難しいな、パソコンで変換してる今の時代、
あんまし書かへんし忘れてしまいますな。

で、ワラビに戻りますな。
皆さんはワラビのアク抜きはどうしてはりますやろか?

ワシやっとコツが分かって来たんで、ご紹介しますな。
ひとつまみの塩でも炭でも重曹でもなんでもええねんけど、湯がいた後が肝心なんやな。

「水でさらす時間」を出来るだけ長くすればアクは残れへんねんな。
あ、苦味があるからこそワラビやん!と思うかたは微妙な時間の調節をして下され。

あとは、もうどない食べても美味しいワラビ。

ワシが良くするのは豆腐と合える「白和え」、
あとは新タマネギと合えてサラダで食べるのも春らしい一品になりますで。
あぁ~幸せ。

蕨色という日本の伝統色がある位、ワラビの色というのは日本の四季の中で突出した緑色ですな~。
目で見て味わい、食べて味わい、いっときしか食べられへん食材ですワ。

同じく、もう此の時期をのがしたら、1年損する~ちゅうてもエエぐらいの「タラノメ」も旬ですわな。

この写真は庭の横のを採集して来てんけど、あ~タマリマせんな。
「タラノメ色」ちゅう日本の伝統色は、調べてみたけど無いみたいや。

この緑色!
天ぷらにして食べるのが一番!

ああぁ~、日本に生まれて良かったとつくづく思う此の時期、幸せですな~感謝。


バックナンバー



島の写真今週の屋久島 屋久島路を行く 週刊タイガー